【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ



「あ……。あそこに置いてあるのって、宿泊学習の時に持ってくの?」


ふと、リビングの隅に置かれたキャリケースが目に留まる。


「ん。そう。水瀬はもう準備出来てんの?」


「……しまった。全然終わってない!」


もうすぐ宿泊学習だっていうのに、なんて悠長だったんだろう。



「人の心配してる場合じゃないでしょ」


「だって……っ、当日の天気ばっかり気になっちゃって……」


「天気?」


「うん……私、肝心な時に雨女なの。小さい時からいつも大事な日は必ずって言っていいくらい雨なんだよ!?」



宿泊学習の日は晴れるといいんだけど……。



「ぷっ……きっと晴れるよ」


「な、なに白坂くん……笑ってるけど」


「いや? さっきは泣きそうだったのに、水瀬がもう笑ってるから。なんかすげぇ安心した」



白坂くんの瞳が緩んだ。

……ほらまた、そういう顔をする。



「俺のせいで怖がらせて、水瀬に嫌われたくないからね?」