【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ



「わっ……! すごい……」


白坂くんの言う通り、そこは外の世界へと繋がっていた。


降り注ぐ夏の陽射しに目を焼いて、一瞬世界が白に染まる。


……きっともう大丈夫だ。

白坂くんの家はすぐだって言っていたんだから……と、力を抜いて安堵した。



───だから、




「なーぎーちゃーん」


真正面から聞こえた気の狂ったような男の声に、私は耳を疑った。


同時に、白坂くんが勢いよく私を胸の中へと抱き寄せた。


そして、白坂くんの手のひらで視界が塞がれ、その声の主の顔は見えなかった。



「……悪い。ちょっと動かないで。お前の顔、アイツに見せるわけにいかない」



白坂くんの焦ったような声。

耳元で囁かれても事態が飲み込めない。



「なぎちゃんなぎちゃんなぎちゃんなぎちゃんなぎちゃんなぎちゃんなぎちゃん──。あははっ。この俺が何回呼んだと思ってるんだよ? 」



何が起きてるの……?



「なぁ、凪。よくここで片割れ狩りしてたよな? 懐かしいね」



白坂くんが何かを察したのか舌を鳴らした。