「……口を開くな。ぶち殺すぞ!!」
「青の方がよかったんじゃない? 相変わらずセンスのない男だな」
カッと目を見開いた男が右手を振り上げる。
その拳には金属製の何かがはめられていて、あんな物で顔を殴られれば、ひとたまりもない。
「今日こそは、その綺麗な顔ぐちゃぐちゃにしてやるからな!!」
……やめてっ!!
私は咄嗟に目を瞑る。
ドシンっと倒れたような鈍い音が耳を貫く。
「……っ、ゲホッ……離せ……ッ……!!」
すぐに目を開けると、そこには赤メッシュの男を背中から倒した白坂くんが馬乗りになっていた。
「上から見下ろすのはやっぱりいいね?」
白坂くんの声色が変わった。
苦痛に顔を歪ませ、抵抗出来ずにいる赤メッシュの男の首根っこを掴んだ。
起き上がろうとした男の顔をコンクリートに押し返すと、頬骨がぶつかった音がした。
「……ハッ、白坂ァ………殺してやる」
「その前に質問だ。テメェが守りたいのはあの男か、お前自身か。どっちだ?」
冷淡に問う白坂くんのその瞳は、怒りを宿していた。



