【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ



こうして手を繋いで並んで歩いていると、少しは、恋人同士に見えるのかな……。


それとも……女子力の低い私じゃ、釣り合わないのかな。


そんな甘くて苦い考えに浸っていたその時だった。



「水瀬、下向いてて」

「えっ?」

「奴らがいる。横断歩道の向こう」

「っ、」


一瞬で私の目の前が暗闇に包まれる。


まさか、奴らって……あの銀髪の男達?


石のように固まって、俯くよりも先に、横断歩道の向こう側に目がいってしまった。



「あっ……」


真っ先に目に入ったのは銀髪の男。

その隣には、赤いメッシュの見知らぬ男がいる。

制服を着ていない彼らは、とても同じ高校生とは思えない。


そして……停車させた一台のバイクに寄りかかっている長身の男は、こちらに背を向けている。


顔は見えない。

でも、はっきりとわかる。


漆のように、黒くて長い髪が。