暑さのせいじゃないことなんてわかってるくせに、とことん意地悪だ……。
「白坂くんの、バカ……っ」
「あ? 聞こえないけど?」
あ、ちょっと黒い……。
聞こえないなんて、嘘なくせに。
私は唇を尖らせて白坂くんを見つめる。
「どうした? なんか心配?」
「心配だらけだよ……っ」
白坂くんのことも、このあと白坂くんの部屋に行ったあとのことも全部!
「宵闇が来る前にちゃんと送ってくから」
それなのに、私の予想とは違う言葉が返ってくる。
さらには、頭の上にポンッと手を乗せて優しく撫でてくるから、目さえ合わせられない。
私は間違いなく白くて黒い白坂くんに、惹かれてる……。
周りの人がチラチラこちらを見て「あの子、美形じゃない?カッコいいね」と、話している声が聞こえてくる。



