【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ



住宅街を抜けて大通りへと出る。

横断歩道の前で信号が赤から青へと変わるのを待った。



「やべ、腹減った」

「あ……白坂くん、お腹空いた?」

「倒れそう」



そう言って、横断歩道待ちをしているというのに、白坂くんが私に寄りかかってくる。



「っ、!? ちょっと、白坂く……」


人前でやめてよ……っ。

そう思いながらドキッと心臓が大きく波打った。



「足んない」

「な、なに……?」


車が行き交う音や人々の話し声で、ちゃんと聞き取れない。



「お前が足んないって言ったの」

「きゃっ……もう! そればっかり!」


突然回された白坂くんの腕は、私の腰をしっかり押さえている。


あたふたする私にその綺麗な顔を躊躇いなく近づけると、



「顔真っ赤じゃん。暑い?」


クスッとわざとらしく笑った白坂くん。