「行こ? 奴らがどこで見てるかわかんないから」
ほんの少し……涼太にうしろ髪を引かれる思いだったけれど、私は差し出された白坂くんの手を取った。
「う、うん。あのさ白坂くん……やっぱりふたりは、知り合いなの……?」
手を繋ぐと一瞬で心拍数が上がっていく。
「全然」
えっ!?
全然知り合いじゃないみたいな言い方されても、今さらでしょ……。
「でも、涼太が……」
「俺といる時はその名前出すの禁止」
「あ……」
「涼太くんは水瀬にまだ打ち明ける覚悟がないんだよ。だからきっと、覚悟が出来たその時は、水瀬に話すと思う」
白坂くんが「心配するな」と微笑んだ。
まるで涼太のことまでお見通しって感じだった。
白坂くんの言うように、今は涼太が話してくれるのを待つしかないのかもしれない。



