「それは……どうしても言い出せなくて……小夏だって……嫌な思いするかもしんねーし。でも、たぶん俺、言い訳してるだけなんだ」
支離滅裂だな……と涼太が声を詰まらせた。
「私が嫌な思いするって、なんのこと……?」
「とにかく、アイツのとこには行かせない」
「嫌……離してよ!」
「ダメだ……っ! 行くな!」
「……っ、涼太?」
力強く私を掴んで離さない涼太の顔が苦しそうに歪んで、それは心配になるほどだった。
「アイツにはもう近づくな……!」
「──それは俺の台詞ね?」
対峙する私と涼太の間を裂くように、背後から声が飛んできた。
飛びつくように私達は振り向いた。
「白坂……っ、お前……毎回、神出鬼没すぎなんだよ!」
涼太が噛み付くと、白坂くんは感情を隠すことなく眉根を寄せた。
私は驚いて瞬きを繰り返していた。



