白坂くんの家がどこにあるかわからないから最寄りの駅で待ち合わせをしている。
暑……っ。
待ってましたとばかりに蝉が鳴いている。
私は家を出てすぐ周囲を念入りに見回した。
用心しないといけない……。
銀髪男達の時のように、突然現れることもあるかもしれないんだから。
あの女の人からの言付けは、その次の日にしっかり伝えてあった。
「地獄なら散々見てきたっつーの」と、気だるげに言っていたけど。
白坂くんを探してる鬼神という暴走族の人と関わりがあるのかもしれないよ、と伝えたら、
「そんなことより、何もされてねーか?」と。
さらには「なんで俺のこと探してる奴らが北区のトップの暴走族って知ってんの?」と、逆に鋭く聞き返される始末……。
素直に鷹村くんから聞いたことを伝えたら、「今度シメとく」と“黒坂”くんの顔を覗かせるし……。
結局、私は無害だけど、白坂くんの方が大丈夫なのか心配になる一方だった。