「白坂くんって、あんなこと言うんだね……」
「あ?」
「っ……ご、ごめんなさ……」
まだ“黒坂”くんだったこととも忘れ、ふと思ったことをそのまま口走ってしまった。
「当たり前だろ。こんな言い方したくないけど、自分のもんに触られて黙ってるような男じゃないから、俺」
「……っ、」
「わかったの?」
不機嫌な表情をした白坂くんが、私の頬にそっと手を滑らせる。
だから近いってば、白坂くん……っ。
熱に染まっているであろう顔を見られたくなくて、私は何度もこくこくと頷いた。
「……朝から可愛すぎかよ」
ぼそっと不満そうな声に反応出来ずにいると、ずるずる引きずるように教室へと連れていかれた。
その後ろ姿が照れてるように見える。
ミルクティー色の髪の先が寝癖なのかピョンッと跳ねていて……。
不機嫌だけど赤くなってる頬が、本当に少しだけ……白坂くんが、可愛いなって思ってしまった。



