「白坂………っ!?」
いてて……っと、涼太が顔に手を当てながら叫んだ。
甘い香りに誘われるように振り向けば、私の頬の横には白坂くんの顔があった。
「……っ、白坂……く……っ!?」
私の肩に顎を乗せてくるから、ドキッと鼓動が飛び出しそうになる。
あまりにも近くに綺麗なその顔がある。
私を右腕でホールドしたまま、「おはよ」と肩越しで囁く寝起きな声。
チラッと見えた焦げ茶色の瞳は、どこか不機嫌そうな色を宿している。
「朝から妬かせてくれるよね、涼太くん?」
「な……っ」
「俺の目の届かないとこで水瀬のこと捕まえようとするとか、なかなかいい度胸してんな?」
「……いちいち威嚇しなくても、別に俺は迫ったりしねぇから!」
「それ、そのまま涼太くんに返すよ」
「っ、」
ギョッとした顔で目を見開くと、反論を止めた涼太は視線を床へと落とした。



