「っ、俺は、アイツが危ない奴らに……」


「りょ……涼太こそ! 若宮さんに早く返事したらどうなの? 若宮さん言ってたよ? 私に隠してることがあるって……ホントなの?」



涼太の声を遮るように言葉を投げつけた。



「それは……」


絞り出した涼太の声が微かに震えている。


「涼太……?」


「小夏……っ! 聞いてくれ! 俺本当は──」



涼太が私の肩を両手で掴んだその時……。



───ベチッ!!


なんとも軽快な音が廊下に響いた。


それは一歩大きく私へと踏み出した涼太の顔面に、誰かの手がめりこんでいたからだ。



「……」


その手によって動きを強制的に静止させられた涼太はしばらくフリーズ。



「えっ……と?」



同時に私の首あたりに回ってきた誰かの右腕。


その腕はギュッと絡みつき、私を涼太から引き剥がすように後ろへと身体を抱き寄せた。