「お母さん、トリートメント貸してー!」
「あんらまっ! どうしたのよ小夏? いつもは時短主義なのに!」
「っ、今日から……トリートメントもすることにしたの! 」
「好きな子でも出来たの!? それとも念願の彼氏? そんなわけないわよね」
「わ、私だって……告白くらいされることもあるんだからね!」
「男の子の間で流行ってるのね、罰ゲーム」
「……」
大事な娘になんてことを言う母親なんだろうか……。
でも、私も涼太に言ったわけだ、さすが親子である。
「ところで、あんた。まさか涼太くんと喧嘩でもした?」
「……な、なんで!?」
「最近全く涼太くんの家に行かないじゃないの。それにこの前お母さん見ちゃったのよ!可愛らしい女の子と歩いてたわよ?」
「へ、へぇ……」
それはきっと若宮さんのことだろうな。
「あんたもイケメンの彼氏出来るといいけのだけど。とりあえず、そのTシャツインスタイルやめなさいよ。 あーあー、まったくもう」
くっ……! お母さんめっ!
隠し持っている一番お高いトリートメントを拝借してやろう。