* 放課後。 一度家に帰り、着替えてから橘くんの最寄駅で合流する。 「橘くん……!」 彼はすでに待っていてくれたようで、慌てて駆け寄る。 「ほら、転ぶかもしれないから走らないで。 怪我したら人前でお姫様抱っこするよ、いいの?」 「お姫様抱っこ……?」 「お姫様抱っこをしたら、見ず知らずの人にも恋人同士だってことが伝わるからね。俺は大歓迎だよ。なんなら今からする?」 その言葉に対して首を横に振る。 人前でお姫様抱っこだなんて、恥ずかしすぎる。