その空間には、気まずい沈黙が流れていた。 芽衣ちゃんはあの日の出来事がきっかけで橘くんを嫌い、今もきつく睨んでいる。 そんな彼女のとなりには、気の毒そうに私を見つめる本原くんがいて。 そしてリビングにある大きなテーブルを挟み、ふたりの向かい側にいるのは私と……。 「あ、あの……橘くん」 「姫野さんって本当にいい匂いがするね」 私をギュッと抱きしめて、スンスンと犬のように匂いを嗅いでくる橘くんがいた。 夏休みに突入して1週間ほど経ったある日。 私の家で夏休みの宿題をすることになった。