「た、橘く……!?」 「うん?どうしたの?」 どうしたのって……て、手が。 橘くんの手が私の手を握ったのだ。 それもみんながいる前で堂々と。 そのためクラスが騒がしくなってしまう。 「きゃー!見てみて!」 「見せつけてんなぁ」 なんて、これだと誤解が深まるばかりだ。 本当に違うというのに。 けれど無闇にその手を振り払うことなんてできない。 特に人前では余計に。 だって周りになんて思われることか……地味な私が、橘くんの手を振り払うだなんて人生が終了するのも同然である。