「恋したいなーって。思わないの?」


リイチくんの目線は、とっくに、わたしから問題集へとうつってしまった。


「キヨちゃんは?」

「わたし!? わたし、は……。それなりに」

「それなりって?」

「ええ!?」


だから、その、ほら。


「ドキドキしたり。キュンとするような……」

「漫画みたいな?」

「うん!」

「現実と漫画は。ちがうと思うけどね」

「そ、そんなことないよ! クラスに、カレシがいる子がいてね。それでね。デート……とか。してるんだって!」