「湊部活終わったの?」
「うん、今日早めに終わって。ほのちゃんは保健委員の当番終わったの?」
湊はチラッと廊下の壁にかけてある時計を見た。
保健室の当番は毎週火曜、職員会議が終わり、保健医が帰ってくるまでの留守番係だ。
大体いつも18時過ぎまでなのだが、今は18時にもなっていない。
「終わってないと言えば、終わってないんだけど…」
保健室に戻る…?いや無理だ。
あぁ、嫌な事思い出した…。
「…ほのちゃん顔」
「あ、ごめんごめん」
私の本性を知っている湊が前だとどうも気が緩む。
学校にいるという事を忘れ、きっと私は見るに耐えない顔をしてしまったに違いない。
そして、先程の保健室での出来事を思い出し、再度唇をガシガシと拭いた。



