ガシガシと制服の裾で唇を乱暴に拭く。
「ちっ。なーにが、『ラッキー☆このままベッドに押し倒してヤっちまおう』だよ、ふざけんな!部活はどーした!部活は!!」
悪態を吐きながら廊下をズンズンと歩いていると、
「ほのちゃん…?」
自分の名前が呼ばれ、ギクッと身体の動きが思わず止まる。
ま、まずい…。
口悪いところを見られてしまった。
一応これでも学校では大人しめなキャラであって…
私はギギギと音を立てて振り返った。
「て、なんだ、湊(みなと)か……」
私はほっと息をついた。
立っていたのは、幼なじみの桜井湊。
ジャージ姿の湊は弓道部で、きっと部活終わりに一緒に帰ろうと保健室に立ち寄ろうとしてくれていたのだろう。
……あぁ、湊は可愛いなぁ。
肌は白いし、髪の毛は黒でサラサラだし、むさ苦しい男をらしさを感じないし、
可愛い系男子とはズバリこの事だ!!
はぁ…
2年に進級してクラスが離れたことを私は今でも悔やんでいる。



