「けど、要は、気持ちのこもったキスがいいってだろ?結局はうまさじゃん。それとも篠原さんはキスしただけでそれがわかるっつーの?」
認めない篠原さんに、つい意地悪な事を言ってしまった。
だってそうだろ?
来るもの拒まず、去るもの追わず。キスするだけして、振ってしまうような女、俺と同類じゃなかったら何だって言うんだ。
何故か驚いた様に固まる篠原さんの腕を、自分のいるベッドの上に導くように引いた。
そのまま角度をつけて顔を近づければ、
「……」
「……」
「…えっと、」
思わず声を出してしまったのは俺の方。
目の前には渾身であろう変顔をする篠原さん。
普通、この場面で本気の変顔してくる女いるか?
いや、いる。今俺の目の前にいる。
「このかほてもできふならやっへみはさいよ(この顔でもできるならやってみなさいよ)」
ちゃんと喋れない程に顔のパーツを歪ませてる相手にできるわけないだろ…!



