「………ん」


私、篠原穂花は、

誰も居ない放課後の保健室で隣のクラスの男の子とキスをしている。



男の子はサッカー部で、部活中に転んでしまった為、保健室に来た。

名前はさっき知った。瀧(たき)くんというらしい。




薄っすら目を開けると、短髪黒髪で、いかにもな爽やかボーイの顔が間近にいる。


そう、その爽やかさに負けてしまったのだが、



………はぁ、この人もか。



唇を話すと、瀧くんは熱を持った目で私を見つめてくる。


そんな瀧くんとは違い、私の顔はきっと冷め切っているだろう。


期待した分、ショックが大きい。
思わず、「はぁあ…」と盛大な溜息をついてしまった。


「篠崎さん…?」

「ぜんっぜん、ダメ!!」

「えっ…?!」


そう力強く言って、私は呆然とする瀧くんを置いて保健室から出た。