【告白】

学校の外は雨が降っている。

親友のアスミは、男子にA公園に呼び出されたとかで、先に帰ってしまった。

「いいなぁ。アスミはモテて」

雨を眺めていると、

「すげぇ雨。傘ないのに…」

章先輩だ。

私はひそかに先輩に片想いしている。

「あの、よかったらこの傘使いませんか?」

思いきって声をかける。

「ほんと? でも…」
「置き傘がもう一本ありますから」

嘘をついた。本当は一本しかない。

「君、名前は?」
「アヤです」

「そっか、ありがと。これで遅れずに済む」

先輩は私の肩を叩く。

「必ず返すから!」

先輩は笑顔で手をふる。

家まで濡れて帰んなきゃいけないけど、これで私の名前、覚えてもらえたよね。