【究極の選択】

夢の中で、俺は真っ白な部屋で、二つの色の違う扉の前に立っていた。

『今からあなたには、どちらかの扉を選び、開けてもらう。どちらかを開けるかで、目を覚ましたあとの現実が変わる』

空から声がする。人間のものではない、無機質な声だ。

『赤の扉を選べば、あなたの家族が全員、死ぬ。しかし、青の扉を選べば、あなたの学校の人間が全員、死ぬ』

声の主が、ふふっと笑い、続ける。

『一時間以内にどちらも選ばなければ、あなたが死ぬ。さぁ、どっちを選ぶ?』

俺はゆっくりと立ち上がると、迷うことなく、赤と青、両方の扉の取っ手を持ち、勢いよく開けた。