【蘇らせの木】

数百年前の中国で、とある高僧のもとに死んだ赤ん坊を抱えた母親がやってきた。

母親は自分の不注意で赤ん坊を殺してしまったといい、高僧に赤ん坊を生き返らせてほしいと涙ながらに訴えた。

「では、寺の庭にある蘇らせの木で首を吊りなさい。さすれば、あなたの命の代わりに赤ん坊が蘇るでしょう」

母親はためらったが、それで赤ん坊が生き返るのならと、首をくくり、命を絶った。

しかし、赤ん坊は生き返らなかった。

高僧の弟子が「なぜ、赤ん坊は生き返らないのです?」とたずねると、

高僧は

「これで、いいんですよ」と笑った。