【鏡の世界】

「夜の二時四分から二時五分までの一分間は鏡を見きゃダメなんだって」

「え? なんで?」

「鏡の世界の自分がね、外にいる私達と入れ替わろうとするからだって」

「嘘だぁー!」

ということで、私は夜の二時四分に鏡の前に立ってみた。

「君さぁ、本当に私と入れ替わるの?」

鏡の自分に問いかける。鏡の自分も、私の動きを完璧に真似る。

やっぱり昼間と変わんないや。

右手を上げれば右手を上げ、左手を上げれば左手を上げる。

がっかりして寝ようとすると、誰かが私の肩をつかんだ。