もう誰かを愛せはしない

「…メイサ。俺から離れないって約束しただろ」

「歩いてるだけじゃん!」

「じゃあ何で怒ってるんだよ」



何でって、そんな事もわからないの?



じゃあもし逆に、私が元カレの話をしたら礼羽はどんな気持ちになる?



辛くない?
ヤキモチ妬かない?

泣きたくならない?



そんな気持ちになるってわからないの?





「メイサ。過去の事なんだから気にするなよ」

「気にするよ!だってライハ…今でもユウキさんの事好きじゃんっ!私より絶対想ってるじゃない!!」



嫉妬混じりの嫌味を吐いた。


こんな困らせるような事、言うつもりなかったのにもう止まらなかった。




「…だから話したくなかったんだ。話さなきゃよかった…」



礼羽は悲しそうな表情を浮かべると、スタスタと歩いて行ってしまった。




ユウキさんの存在に妬いていたのは確かだけど


それよりも…



礼羽が嘘をついていた事が許せなかった。




私の為に黙っていたんだとしても

嘘なんか付かないで欲しかった。





一度だって嘘を付かれたら、礼羽が言う事がすべて嘘だと思ってしまう。