「メイサさんは礼羽の昔の話を聞いた事あるかい?」



昔の話?




「ないです。知り合ったのは高校生になってからなんで、それ以前の事は何も…」

「そうか…」



おじいちゃん、少し深刻そうな表情をしているけど…


礼羽の昔がどうしたんだろう?




「あっ…。でも、大切な友達が病気で亡くなったってことは聞きましたよ」



私がそう言うと、おじいちゃんはバッと顔をあげた。




「…友達と言ったのか、アイツは」

「はい」



え?友達じゃないの?




「おじいちゃんはライハの何かを知っているんですか?」



おじいちゃんは頷くとニコッと微笑んだ。




「メイサさんに話してやりたい所だが、本人から聞くのが一番だろう。…礼羽にとってメイサさんは大切な人みたいだからな」


「大切な人?ですか」


「あぁ。だから臆病になってるだけだ。いつか本当の事を話してくれるはずだよ」



おじいちゃんの言っている事がよくわからなかったけど、礼羽が戻ってきた為、それ以上何も聞けなかった。




街灯のない田んぼ道は暗くて足元が見えない。



月明かりと礼羽が繋いでくれている手を頼りに、歩いていた。