泣くつもりなんかなかったのに

何だか情けなくて…。



礼羽と美味しいねって笑いながら記念日を祝いたかったのに…。




「泣くなよ。…上手く作れるようになるまで毎日作ればいいだろ。食ってやるから」


「毎日ハンバーグ食べるの?胃もたれするよ」


「それでもいいから泣くな」



礼羽は優しく微笑むと、皿を片付けてケーキを箱から出した。




「ほら、口直しにケーキでも食え」

「うん!」

「ケーキで機嫌が直るなんてメイサもまだまだ子どもだな」



だって嬉しいんだもん。


ケーキもだけど礼羽の優しさが。




「ライハ。毎月、記念日はこうやって一緒に祝おうね」


「あぁ。何ヶ月の記念日に旨いハンバーグが食えるか楽しみにしてる」




その日、小さなケーキを半分に分け合った私達は幸せな空気に包まれながら笑っていた。





毎月一緒にこんな幸せな記念日を迎えられるんだと

礼羽と私はずっと一緒なんだと


そう信じて疑わなかった。






この時までは…。