「大人しく寝てろ」

「眠たくない」

「そのうち眠くなるよ」



制服越しに聞こえる礼羽の鼓動と香水の匂いが心地良い。


暫くすると本当に眠たくなってきた。




「メイサ、明日暇?」



瞼が重くなってきた頃、私の髪を撫でていた礼羽がポツリと呟いた。




「暇だけど…何で?」



礼羽の胸に乗せていた顔を礼羽に向けると、少し頬の赤い礼羽と目が合った。




「…何もねぇけど、暇なら帰りどっか行こうぜ」

「誕生日なのに私と過ごしていいの?」

「いいから誘ってんだろ」



日射しが眩しいのか、礼羽は腕で目元を隠した。



「じゃあケーキでも焼いてあげようかな」


「いいよ、ケーキなんて。メイサ料理下手そうだし」


「うるさいなぁ!折角人が作ってあげようとしてるのに」


「メイサは祝ってくれるだけでいんだよ。他のことに気を回すな」



礼羽は立ち上がると、あくびをしながら伸びをした。