私の初めてを捧げたのは、礼羽。



同棲生活初日の夜。

シングルの布団にせせこましく並んで寝てたら、礼羽がモゾモゾし始めた。



「…ライハ?トイレにでも行きたいの?」

「ちげぇよ、バカ!お前、こんなに密着して寝てて何も感じないのか?」



何もって…。


礼羽が隣りにいるからポカポカして暖かいなぁ〜とは思うけど

そういう事じゃなくて?




私が首を傾げると、礼羽は溜め息をついた。



「メイサ、俺は男だぞ?…彼女と一緒に寝てて平気でいられる程、俺は大人じゃねぇよ」



礼羽はそう言うと、体を起こし私の上に跨った。


目の前にある礼羽の顔が恥ずかしくて顔を背けると、礼羽に無理矢理目線を合わせられた。



礼羽の息が顔にかかる。




「メイサ、初めて?」

「…っ…悪い?だって…私が誰かと付き合うの、ライハが初めてだもん」



そりゃ人並みに恋はしてきたし、好きな人はいたけど、付き合った事なんて一度もない。


高校入学してからずっと、礼羽が好きだったし?




「…マジか。俺も初めてなんだよな…」

「え?礼羽が!?嘘でしょ!?」

「何だよ、それ。俺の事そんな軽く見てたのかよ」



そうじゃないけど…礼羽だよ!?



中学時代の礼羽は知らないけど、この容姿からしてモテたんだろうから、彼女の1人や2人いたでしょうに。




「俺、今まで誰かと付き合ったの中学ン時の1人だけだし、その子とはヤらなかったし」

「…ライハは見た目によらず一途なんだね」



クスクス笑う私にキスをすると、礼羽は頬を寄せてきた。




「…抱かせて、メイサ」



少し震えた声で囁く礼羽。


私はその声を愛しいと思った。




「ライハ…。大好きだよ」

「俺も」



その後、ひたすらキスをしながらお互いに初めての行為をした。



礼羽の首に下がるネックレスのリングが、胸に当たって冷たい。