絵梨の言葉の力は本当にすごい。



不安で押しつぶされて、厚い雲に覆われていた心の空に光が差し込んできたかのような安心感がある。



「……して、みようかな」



きっとフラれるかもしれない。



そんなこと初めからわかってる。



もしダメだったとしても、今後先輩に会うことはきっとない。



モヤモヤしたままお別れをするくらいなら、しっかりフラれて前を向く方がきっといい。



「よく判断した!私は奏音の味方だから、応援してるよ。もしなんかあったら、迷わず私の胸に飛び込んでこいっ!」



「ふふっ、絵梨ってば過保護なお兄ちゃんみたい」



「ちょっとー、せっかくいいこと言ってるんだからバカにしないでよねー」



「ごめんごめん、ありがとう」



勝負は明日。



祈先輩と最後のアルバイト。