『会いたいよ、姉さん』 「ふふ、私もだよ、朱」 突然朱が寂しそうな声で私を〝姉〟として扱ってきたので私も思わず〝兄〟ではなく、〝姉〟として朱に答えてしまった。 『怪我ひとつせずに絶対に無事に帰ってくるって約束して』 「うん。もちろん」 『…明日も電話してね』 「うん」 『おやすみ、姉さん』 「おやすみ、朱」 名残惜しそうな朱の声を最後に電話を切る。 さて、と。 私は机の上にスマホを置いて窓際へ向かった。