「実戦大会から始まり、普段の授業、任務、全てにおいてこの半年間、君たちの活躍をこちらでもよく耳にしていたよ。さすがだったね」



ここでの話の主導権はだいたい麟太朗様だ。厳かな気を使いまくる食事と会話の中で、私とは対照的に余裕のある麟太朗様がお上品にそれはそれは嬉しそうに私たちを見つめる。



「ありがとうございます」



するとまずは蒼がいつもの笑顔で麟太朗様にお礼を言った。



「「ありがとうございます」」



それに続いて琥珀、武も自然な流れで麟太朗様にお礼を言う。



「…っ。ありがとうございます」



私も慌てて口の中にあった食べ物を飲み込んで麟太朗様にお礼を言った。

ものすごく急いで飲み込んだことにより、喉にご飯を詰まらせてしまった為、私は話の邪魔にだけはならないように極力小さく咳き込む。



「…こほ、こほ」

「…」



隣から何だか冷たい視線を感じる。
…おそらく、いや間違いなく武の怒りの視線だ。

一応あまり話の邪魔にならないように気を使って咳き込んだがどうやら武の判断ではアウトだったようだ。



「…バカ、何やってんだよ。これ飲んどけ」

「うっ、こほっ、ありがと」



隣を見ないようにしていると呆れている様子の武から水を渡され私はそれを受け取った。
そしてぐびぐび飲み干したい気持ちを抑えてお上品にちまちまとその水を口に入れた。

…怒っているのではなく、どうやら呆れているようだ。