小綺麗に積み立てたトイレットペーパーの山の前で満足そうに腕を組む。
見咎める人もいなければ喜ぶ誰かもいないのだが、こういうのは気分の問題なのだ。
髪の毛の一本も散らばっていない、埃の乗った洗面台。泥で汚れた入り口と、煤汚れた壁。蛇口を捻っても上手く水が流れないので、雑巾で軽くはたき落とした。
何番目のトイレにおばけとやらがいるのか、私は知らない。
知らないが、どの場所にも入ったことがあるのだからきっとただの噂なのだろう。
幽霊や妖怪。オカルトは好きだ。
ここにいる妖怪はどんなものだろうか…どうやったら見えるようになるのだろうか。もしかすると、私のような人間には、死んでも見えないのかもしれない。
他愛ない考え事をしながら足を進めた。
左側、奥から二番目の個室のノブに手をかけたところで、外から不規則な足音が聞こえる。無視を決め込んで、扉を引いた私の耳に入ったのは、
ノックの音が、二回。
見咎める人もいなければ喜ぶ誰かもいないのだが、こういうのは気分の問題なのだ。
髪の毛の一本も散らばっていない、埃の乗った洗面台。泥で汚れた入り口と、煤汚れた壁。蛇口を捻っても上手く水が流れないので、雑巾で軽くはたき落とした。
何番目のトイレにおばけとやらがいるのか、私は知らない。
知らないが、どの場所にも入ったことがあるのだからきっとただの噂なのだろう。
幽霊や妖怪。オカルトは好きだ。
ここにいる妖怪はどんなものだろうか…どうやったら見えるようになるのだろうか。もしかすると、私のような人間には、死んでも見えないのかもしれない。
他愛ない考え事をしながら足を進めた。
左側、奥から二番目の個室のノブに手をかけたところで、外から不規則な足音が聞こえる。無視を決め込んで、扉を引いた私の耳に入ったのは、
ノックの音が、二回。


