学校のトイレというのはどうやら、憩いの場とされる運命にあるらしい。そういう星の下にでも生まれたのだろうか。しかし掃除時間でも、というのは少し困った点だ。


そんなくだらないことを思いながら向かう先は、旧校舎一階曰く付きのトイレ。腕には白い紙の束。


この数百メートルの校舎内に千何百人を押し込んだ学舎の中、人気のない場所というと指を折るほどの数もない。

人っ子一人の寄り付かないその場所は、数少ない私の憩いの場なのだ。
私はよくここに身を隠したり、眠ってみたり、お昼を頂いたりする。

清潔でないことも分かってはいるが、だって家にすらいつも人がいるのだ。
心穏やかに過ごせる場所というのは、人間誰しも必要だろう。

学校や家庭に孤独はない。
街中の雑踏の中よりもずっと人が多いのだから。


孤独が足りない、なんて嘯きながら歩く。そんな私の足取りは軽快だった。