「…蘭。美蘭!」

「うぇ⁈」

友梨に呼ばれて視界が明るくなる。

「ったく、あんたHL中爆睡してたわよ」

「うわーまったく覚えてないわー」

「でしょね。委員長が『明日は一日中監視してやる!』って息巻いてたわよ」

ぐーっと伸びをする。


「えーめんど今なんの時間?」

「もう放課後」

確かにまわりを見渡すと私達以外誰もいなかった。

「あーよく寝た」

「それは良かったですね」

「うん、良かったよ。じゃ、帰ろー」

「へーへー」

毎度の事ながら教室を出ると視線を向けられた。

しかも友梨と一緒だから余計に。

友梨は校内では結構人気がある。

学校の不気味な奴と人気者。

話のネタにはぴったりだろう。

自然とため息が増えていく。

足どりも重たい

「…ほんっとやだ」

友梨にもわからない声でつぶやいた。

「今日も彼らのとこ行くの?」

靴箱で友梨が聞いてきた。

「んーま、一応ね。どしたの急に」

「彼氏が会いたいって言ってたから」

「えーあんたの彼氏苦手なんだけど」

「なんで?“族”だから?」

友梨の彼氏、藤柴竜也(ふじしば たつや)は俗に言う暴走族の総長だ。

総長と言ってもいい人なんだけどね。

「“アイツら”のこと、とやかく言うから」

「そりゃそうでしょ。のろけじゃないけど竜也が心配するのは当たり前」

「もーしかも“アイツら”と敵対してるじゃん」

「あーそーだったーね」