『あんな子、家じゃ無理よ』
『うちも、今年息子が大学受験なの。もう
一人の受験料払える余裕なんてないわよ』
『じゃあ、美蘭ちゃんのおじいさんが引き
取ればいいじゃない』
『無理よ、あんた知らないの?あの子の
親、学生の時に大喧嘩して、娘のこと勘当
しているのよ。まぁ、孫なら大丈夫だと思
ったんだけどね、ダメみたい。顔見たら嫌
でも、思い出すからだってさ』
『えーじゃあ誰も無理ってこと?』
『そうなるわね〜』
『おい』
私は自分の事だと思いぼんやり聞いていた
のに、親戚のガキに邪魔された。
さっさと終わらせよう。
そのために立ち上がり、逃げようとすると
『おっと、行かせないぜ、おーい』
そう言って、ガキがガキを呼んだ。
あー面倒くさい事になった。
ガキが増えた。
『『とうらせない!』』
と、道を塞がれた。
面倒くさいが早く戻りたいため
『何』
と不機嫌丸出しの声で言った。
『おお、やっと口を聞いたな』
『で、何』
トントントン、
さっさと終わらせてほしい
ストレスで思わず貧乏ゆすりをしてしま
う
『あぁ、おまえ、誰も引き取ってくれない
から施設に預けられるらしいぞ』
どうだ。みたいな顔をされても
『…それだけ』
『それだけとはなんだよ!びびっただろ』
『嫌、別に。じゃ』
『おい!待てよ!おい!』
聞くだけ無駄だった。
部屋に戻ってみると親戚の人に手招きされ
た。
『美蘭ちゃん、ちょっとこっちに』
『…はい』
ようやく決まったんだろか。
『美蘭ちゃんのことなんだけど、みんなち
ょっと引き取るのが難しいのよ。だから、美蘭ちゃんに決めてもらおうと思ってね。美蘭ちゃんはどうしたい?』
あくまで私の意見を尊重しているようだけ
ど、引き取りたくないという空気がひしひ
しと感じる。
どうせ言われるなら、自分から言ってやろう。
嫌々引き取られるよりはマシだ。
『私は……施設に行き』
そう言った時襖が勢いよく開けられた