千景くんは魔法使い



わわ、近い……っ。

というか、ものすごく綺麗な顔だ。瞳もビー玉みたいに透きとおっているし、なんかいい匂いもする。

どうしよう、どうしよう。

でも喋らないと、変な子だって思われる。


「え、えっと……せ、先生に頼まれてしまった、ので……」

私は精いっぱいの声で、途切れ途切れに答えた。


――『遠山さんと話してるとイライラしない?』
『わかる。いつもぼそぼそ話すし、声かけてもぼんやりしてて、変わってるよね』

頭に浮かんできたのは昔、誰かに言われた言葉だ。

今まで小学校でもクラスメイトたちと上手く打ち解けることはできなかった。

だから中学生になったら変わろうって思っていたのに、去年も同じようなことの繰り返しで、中学二年生になった今も私はひとりでいる。

ぼんやりしてるんじゃなくて、なんて返事をしようかいつも考えすぎてしまう。 

そんな私にイライラするのは当然だし、自分でもなんで上手にできないのって、嫌になってくる。