「最後って……?」
千景くんの髪の毛がさらさらと夏風で揺れている。その前髪から見え隠れしてる瞳は、私たちが飛んできた空へと向いていた。
「なんとなく、自分の中で魔法が弱くなってることがわかるんだ」
私には千景くんの魔法が弱くなった理由に思い当たることがあった。
「前にね、魔法は心と繋がってるんだって、ちっちが言ってたよ」
「ちっちが?」
「魔法のコントロールができなかった時に、偶然ちっちに当たって喋れるようになった日があったの。その時にちっちが千景くんの魔法のことについて教えてくれたんだ。猫と魔女は昔から近い関係にあるからわかるんだって」
「そうだったんだ……。魔法と心が繋がってるっていうのは、なんとなく俺もそうかなって感じてた。魔法は俺がサッカーを辞めた時から使えるようになったものだから」
それで、またサッカーを始めようとしてるから魔法が弱くなっているのだと思う。
私はちっちから、いつか千景くんが魔法に支配されてしまうかもしれないと聞いた時から怖かった。
それから自分にはなにができるだろうと考えて続けていた。
魔法はすごく素敵なことにも使えるけれど、逆に人を傷つける凶器にもなりうる。
だから私は、千景くんが自分の心と向き合い、魔法の力が弱くなっていることは、とても良いことだと思ってる。
魔法使いじゃなくても、千景くんは千景くんだから、私の大切な人に変わりはないのだ。



