千景くんは魔法使い



まるで私たちの体全体が魔法に包まれているように、小さな星が散らばっている。

ふたりが通ってきた空間にも星が残っていて、私たちが天の川を作り出しているみたいだった。

千景くんは空をさんぽするように一周したあと、この街で一番高いビルの屋上に降り立った。


「わあ、街の明かりがきれい……」

白にオレンジに黄色。様々な色の光がキラキラしていて、こんなに美しい夜景を見たのは初めてだった。


「千景くん、ありがとう。私、今日のことは一生忘れない」

嫌なことがあったり、悲しくなっても、千景くんと空のデートをしたことを思い出せば、すぐに元気になれるだろう。


「喜んでもらえてよかった」

千景くんは嬉しそうに、私の隣に並んだ。

さっきまで自分の部屋にいたのに、私たちはこんなにも高い場所にいる。


私の家はあの辺かな?

千景くんの家はこっちかな?

誰にも邪魔されることのない空間にいると、まるで私たちだけの世界になったような気分だ。


「たぶん、これが最後の魔法になると思う」


千景くんがぽつりと呟いた。