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「エル〜!会いたかったよお!!」
登校して下駄箱で上履きに履き替えていたら、いきなり抱きつかれた。
「ケイちゃん……おはよ」
「おはよ〜!」
優しい金木犀の香り。
誕生日プレゼントでわたしがあげた香水だ。
先々月にあげて以来、毎日つけてくれてる。
それがケイちゃんの香りになっていったのが嬉しかった。
わたし、嬉しかったんだよ。
「もう体調大丈夫なの!?」
昨日わたしは欠席した。
おととい図書室でうずくまっていたところに、司書の先生が戸締りをしにやって来てしまった。先生はわたしの様子を見るやいなや保健室に連れていったあげくに親まで呼んで。まあまあ大ごとになったことに罪悪感。
本当に顔色が悪かったらしく、親は一日わたしを休ませてくれた。
おかげで気持ち悪さはだいぶ治った……はず。
「うん、大丈夫」
「ほんとに?……やっぱりおととい先に帰らなきゃよかった」
しゅんとうなだれるケイちゃんに、胸がチクリと痛む。
でも帰ったんでしょう?
なんて。
バカだな。
先に帰ってと言ったのはわたしじゃんか。



