起き上がった私は、思わず千秋くんを見る。

その目はぱっちり開いていて。

ふわふわの髪の毛の隙間から、鋭く睨みつけられている。



「千秋くんに、おにぎり作ってきた」



へらりと笑う私を、睨み続ける千秋くん。



「余計なお世話だし、干渉しないで、って言ったよね」



そうなんだけど。

余計なお世話だってことぐらい、分かっているよ。

だけど、少しくらい食べて欲しいんだよ。


動かない私に、ため息をつく千秋くん。

千秋くんは起き上がって、牛乳パックを握った。


そのまま姿を消す千秋くん。

裏庭に残ったのは、私と、寂しそうなおにぎりだけだった。