ボストンバックに荷物を詰め終わった私は、リビングへ行く。

お母さんと楽しそうに話している3人。

ああやって、笑っていれば、ごく普通の男の子って感じがするのにな。


荷物を抱えた私に気づいた神崎くんが、私の名前を呼ぶ。

私に集まる視線。



「じゃあっ。娘をお願いしますねっ」

「はい。任せてください」



神崎くんが私の手を握って、リビングを出て行く。

不意に、肩にかけていた荷物を引っ張られる。



「荷物、貸せ。持っていってやる」

「え、あ。ありがとう……」



そんな私たちの姿を、にこにこと見送るお母さん。

私は、お母さんに手を振って、家をあとにした。