「……もういい。茜、行こう?」

「えっ、」



ど、どこにですか?


神崎くんは私の手を握って、靴を履き始める。

状況が読み込めないけど。

2人の説得に納得してくれて、駅まで送ってくれる……、とかですかね?

それだったら嬉しい。



「蓮、どこいくんだよ!」



涼の声に神崎くんが振り返って、少しせつなそうに言う。

少しの沈黙の後、神崎くんが口を開いた。



「新しい家で、茜と住む」

「はああぁっ!?」



声が揃う。

神崎くんは『うるさい』とでも言うように、眉をしかめるけど。



「いやいやっ。それはさすがに無理でしょ!?」

「蓮、何言ってんだ!?」

「僕、涼と2人で住むのは嫌だ」



かわいい系男子くん。

その言葉は涼がかわいそうだよ。