私は、彼らに引っ張られるようにして、ルームシェアで使っている家に戻った。

その頃には、私もひとりで歩ける状態になっていた。


大丈夫、と言っているのに、『おんぶする』と喧嘩を始める3人。

そんな彼らを見ながら、複雑な気持ちになる私がいた。





私たち4人は家のリビングのソファに座る。

沈黙が続く。


この沈黙に耐えられなかったのは、私だった。



「……、迷惑かけてごめん」



私に視線が集まる。



「みんなを守りたかったけど。結局、守ってもらったのは私だったね」



苦笑いを浮かべる。
 
みんなを守るために、距離を置いたはずなのに。

守ってもらっていたのは、私だった。


自分ひとりじゃ、朝比奈さんに何も言えなくて。

このいじめを止めることだって、出来なかった。


それに。



「私の机と椅子……。いつもと変わらない場所に置いてあったのは、みんなが直してくれていたんだよね」



靴もそうだった。

一度は誰かに捨てられた机や椅子たち。


朝、誰よりも3人が早く登校して探してくれていた。

誰にも気づかれないように、もとの位置に戻してくれていたのは、彼らの姿を見ていなくても分かっていた。