社長室を出ると、すっかり日が暮れていた。

家へと帰る道のりを3人で歩いている。



「一件落着、だね!」



千秋くんが嬉しそうに話す。

その言葉に涼も頷く。



「……迷惑、かけて悪かった」



神崎くんが呟く。

その言葉に私たちの足が自然に止まる。



「誰も、迷惑だとか思ってないよ?」



うつむいている神崎くんの顔を覗き込む私。



「みんな、神崎くんのことが大切だからさ」

「……ありがとう」



神崎くんの気持ちは、みんなに伝わっているから。



「顔上げて?」



神崎くんがゆっくり顔を上げる。

私も姿勢を戻す。


涼も千秋くんも優しい笑顔でいっぱいだった。

その顔を見た神崎くんは、ほっとしたのか、神崎くんも笑顔になる。



「ありがとう」

「もう、いいって!」



千秋くんが再び家に向かって歩き出す。

涼も歩き始める。

私も帰ろうと思った瞬間、神崎くんに後ろからぎゅっと抱きしめられた。


戸惑う私。

私を抱きしめる神崎くん。

私たち2人に気づかず、歩き進んでいく涼と千秋くん。