「女が嫌いだ」



その言葉は、涼と初めて出会ったときにも聞いた気がする。

理由までは聞いていなかったけど。



「俺、見た目がチャラいから。軽い男って、よく見られる」



再び地面に視線を落とす涼。



「だから、女が1日限りの関係を持つためだけに寄ってくる」



意味分かるか? と、聞く涼。

私は黙って頷く。


私の反応を確認してから、話を続ける。



「俺が荒れてた頃は、それがちょうど良かったんだ」



涼の荒れていた頃、か。

荒れていた頃があったのは初めて聞いた。



「だけど、そういう自分が嫌になってきて。……そういうことはやめたんだ」

「朝比奈さんが言っていたことは……?」

「……あいつに誘われて、高1のときに1回だけ」



涼の言葉に胸が苦しくなる。



「それから、しつこく何度も誘われたけど断っていたんだ」

「……」

「こんな見た目だから、あいつも都合の良いように使いたかったんだろ」



まあ。

涼はイケメンの部類に入るからね。

朝比奈さんだけじゃなく、女の人にとっては、イケメンの部類に入る人と関係持つことが“自分の価値”でもあったのかもしれないな。