「あいつから。何か聞いてたか?」



涼が苦しそうに言葉を吐き出す。



「涼とは体の関係を持っていた、って。朝比奈さんがショッピングモールで話していた」



嘘をつくこともできないので、正直に話す。

そんな私の言葉に、涼はため息をつく。

そのため息は、何のため息だろう。



「俺が嫌になったか?」



涼は地面に視線を落としたまま、私に聞いてくる。


嫌?

そんなの。



「嫌になるわけないじゃん。嫌になっていたら、一緒にいない」

「そうか」



涼は苦笑して、私に視線を向けた。

その目は揺らいでいて。

今まで見た表情の中で、1番切ない表情だった。



「……俺は」



涼が口を開く。