「涼」

「ん?」



買ったばかりの浮き輪が入った紙袋を持ってくれている涼は何気に優しい。



「私、水着を買いたいんだけど」

「買ってくれば?」

「涼はどこで待っていてくれる?」



私の問いかけに、しばらく悩んだ涼。



「んー、ついてく」



当たり前のように私の隣を歩いている涼。


水着を選んでいるところを見られるのか。

恥ずかしいにもほどがある。

絶対笑われる。


だけど、ついてきてくれる、と言う涼の気持ちも大切にしたいので私は頷いた。



「どんな水着にしようかな」



照れ隠しも含めて、隣を歩く涼に話しかける。



「なんでもいいんじゃね」

「スクール水着でも?」

「そもそも、ここに売ってねぇだろ」



そりゃ、私も売っているとは思わないけど。

冗談を言ったのに真面目に返されてしまった。


そんな会話を繰り返しながら、水着コーナーへ歩いていると。



「涼くん!?」



聞き覚えのある声が、涼の名前を呼ぶ。

後ろを振り返ると、先日、ショッピングモールで会った美少女が手を振っていた。

涼も知り合いだったの?


というか、デジャブ?