「穂村、本当は数学好きだったんだな!」

「はいっ、すみませ……! え?」

「このクラス、トップの成績は穂村だったぞ!」



え。



「ええええ!?」



叫んだのは、私ではなくクラスメイトたちだった。



「なんで!?」

「クラスのトップって……」

「神崎くんより上ってこと!?」



騒ぎ出す教室。

私は、その様子に唖然としてしまった。


席を立ったまま、クラスメイトの声や視線に耐える。



「穂村さんが、神崎くんを破った……?」



……破る?

どういうこと?


私は隣の席の神崎くんに視線を向ける。



「何点だった?」



と、神崎くんが私と目を合わせて聞いてくれるけど。



「まだ、テスト用紙は返却してもらってないよ?」

「あ、そっか」



そんな教室の様子を、にこにこと眺めている先生。



「名前呼ぶから、テスト用紙、取りに来いよー」